そして誰もいなくなった。

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<<感想>> -エロゲ―- 「フレラバ ~Friend to Lover~」

 

 

 

 

陽茉莉ルートがすごく良かったので感想を書いていこうと思います。

 

 

 

<ネタばれ注意、未プレイの方は閲覧しない方がいいです>

 

 

 

 

 

幼少の頃から仲の良かった、青葉恭介と皆原陽茉莉は青葉家の引っ越しに伴いお互いは離れ離れになった。お互いにメールアドレスを交換していなかったこともあって、恭介が転校してからは二人は疎遠状態となっていた。

 

時は過ぎて二人は高校へ進学することとなり、偶然にも同じ高校へ進学することとなる。互いに相手の存在を知りつつも、疎遠状態であったことの気まずさや複雑な心境があって積極的に話しかけるようなことはしなかった。

 

そして高校二年生となり同じクラスに進級することになる。二年生になってからは恭介の方から積極的にアプローチをかけ、それが功を奏しお互いは付き合うこととなった。

 

デートを重ね親密になった頃、恭介は陽茉莉の実家に上がり彼女の部屋でのんびりくつろいでいた。傍にいる彼女はすやすやと眠っているようだ。

 

幼少の頃からあまり変わらない陽茉莉の部屋、なつかしくていろいろ物色していると一冊のノートが棚から落ちてきた。めくってみると中から、恭介へのラブレターが挟まっていた。恭介の引っ越しの後、しばらくしてから書かれたラブレター。しかしそれは渡すことを前提に書かれたものではなく、自分の気持ちをここで完結させるために書かれたものだった。

 

『みんなから、いっぱい冷やかされたこともあったけど・・・・・』

『わたし、ずっとあなたのことが好きでした』

『あと、一つだけどうしても謝りたいことがあります』

『学校でいつも私が隣にいたんじゃ、当然男子から色々言われるよね』

『私、すごく今まで無神経だった。昔からずっと一緒にいたからって、男子側の都合も考えなくちゃ駄目だよね』

『私も、卒業を機会にちょっと幼馴染み離れをしようと思います』

『どうか、楽しい学校生活を送ってください。私もいっぱい友達が作れるように頑張ります』

『それじゃ』

 

 幼馴染であるが故の葛藤。胸に秘めた思いに陽茉莉はふたをした。

 

それを知った恭介は、高校に入学してから陽茉莉が喋りかけてこなかったのは、子供のころと同じように恭介に迷惑がかかると思い込んでいるからだと察する。

 

『―――なぁ、陽茉莉』

『お前ケータイ買ったとき、俺にわざとアドレスを教えなかったんだろ?』

『え?違うよ?だからそれはお母さんが』

『さっき陽子さんに聞いたら、そんな話知らないっていってた』

『なぁ、本当のこと言ってくれよ。お前きっと、俺に色々と気を遣って黙ってたんだろ?』

『・・・・・・・』

 『お前、また俺が新しい学校で孤立しないように、わざと話しかけてこなかったんじゃないか?』

『どうせ俺の迷惑になるとか、そんなことばっか考えて・・・・・』

 

 

『――――違うよ』

 

 

陽茉莉は、恭介の推察を否定する。事実そうではなかったのだ。

 

幼少の陽茉莉は、恭介に迷惑をかけたくないという気持ちと同時に、自分が恭介に抱いた好意というものが、幼馴染の延長線上に芽生えたものなのか、それとも純粋に異性として抱いたものなのかがあの頃は判別が付かなかった。だからこそラブレターは恭介に渡されることもなく押し入れの中にしまいこんでいたのだった。

 

卒業して、別々の学校に行っても恭介の事が好きだったなら、告白をしよう―――。そう思っていた陽茉莉だったが、進学先でも楽しいことはいっぱいで。徐々に恭介への思いは薄れていった。だから、同じ高校に進学したと分かった時でも特別話しかけるようなことはしなかった。

 

それに、もう一度恭介の事を一から好きになったのなら、それはそれで、とても素敵なことだと思ったから。

 

『その結果は?』

『・・・・・・』

『えへへ、結果はこの通り』

『私、結局二回も好きになっちゃった・・・・・』

 

陽茉莉は恭介の事を、単なる異性とか幼馴染とかいう記号ではなく、一人の人間として、一人の存在として恭介の事を愛していたのであった。

 

 

 

 

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うーん、素敵な話でした。SMEEの作品はこれが初めてでして、これなら「ピュアコネクト」も期待できそうですね。ピュアコネクトの方は絵柄が個人的にイマイチでして、絵柄とOPがイマイチな作品はあまり食指が動かないのですが、フレラバの特に陽茉莉ルートが特に面白かったので、ブランドに期待してピュアコネクトの方も買ってみようかと思います。

 

がっつり読んでいたのが陽茉莉ルートだけだったので、どうしても陽茉莉だけの話になってしまうのですが、女の子らしい女の子で、生きたキャラクターを作るのが大事というのが物語の基本だと思いますが、まさにキャラクターとして生きていて、良いシナリオだったと思います。