そして誰もいなくなった。

書評、エロゲ―の批評等しています。感想、考察は基本ネタばれになります。閲覧にご注意ください。

<<書評>> -ライトノベル- 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12」

 

 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12」読了しました。

 

11巻が発刊されてから、2年強の歳月を経て、12巻が発刊されることとなりました。

 

あれから2歳も年取ったのか・・・、と思うと、なんというか、万感の思いです。

 

 

 

では、あらすじです。<<ネタばれ含む。というか要約?>>

 

 

 

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雪の日の夕暮れ。彼らは、今のこの三人の関係性、雪ノ下は、彼女自身が抱える問題について、それぞれの決意を胸に新たにする。今日はバレンタインデー。つまり2月14日。もうすぐ進級を迎えることとなる。思えばこの一年はあっという間に過ぎ去って、それぞれの思い出が脳裏に浮かぶ。何とはなしに彼らはその思い出を訥々と語りあった。

 

それからの日は、比企谷小町の受験があったり、川崎沙希とお茶したりと、騒がしい毎日を過ごしていた。

 

入試休み明けのある日、部室に一色いろはが訪れる。中に入ると、室内にプロジェクターを勝手に設置し、映画を上映し始めた。内容はプロムナードといわれる、洋物のダンスパーティみたいなドラマだった。上映が終わると、一色は今年の卒業式の後に行われる謝恩祭を、このプロムナードみたいな催しにしたいと思っているらしく、実現のために奉仕部の三人の手を貸してもらえないだろうか、という依頼のために奉仕部を訪れたのだった。

実現可能性についてあれこれ考えていると、一色がなぜ、『今年からプロムを実施したい』と希望するのか、雪乃下はふと疑問に思った。一色はまだ学年は一年生であり、伝統を作るという意味では、別に来年では構わないのではないかと一色に意見するが、どうしても今年からやりたいとの一点張りで、理由はよく分からないがその熱意を感じ取り、雪ノ下は、プロムの実施を手伝うこととなった。比企谷と由比ヶ浜は、雪ノ下一人で事にあたりたいとの意思を受け取り、今回は、プロムを手伝うことはしなかった。

 

とはいっても後日、雪ノ下から比企谷と由比ヶ浜に、都合上、手伝ってもらいたい部分があったりと、計画の一端を加勢したりもした。スケジュールから逆算すると、今の時点では、何も問題はないんじゃなかろうかと、比企谷は思った。

 

特に、手伝うこともなくなったので、比企谷と由比ヶ浜は、なんとなく二人で下校したりといった日々を過ごした。

 

今日も二人で帰ろうと、教室を出ようと足を向けた時、一色が息を切らして教室の中に入ってきた。深刻な面持ちだった。

 

「・・・・・とにかく一緒に来てもらってもいいですか」

 

連れて行かれたのは学校の応接室。ソファに腰かけていたのは、平塚先生、雪ノ下雪乃雪ノ下陽乃、そして雪ノ下の母親だった。

 

 

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表紙の裏の、紹介文を読むと、「・・・・・それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。」とあります。そして、本巻にはいつも書いている「あとがき」がありませんでした。そこら辺を考慮すると、次巻、13巻で最終巻ということでしょう。

 

11巻の表紙は、由比ヶ浜で、12巻の表紙は雪ノ下雪乃でした。13巻はどうなるのでしょうか。普通に考えたら、由比ヶ浜と雪ノ下でしょうが。そこら辺も期待ということで。

 

もともと、わたしは小説とか呼んでこなかったタチなのですが、5年前?ぐらいに読んだこの「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」を読んでからというものの、まず、このシリーズ読んで、他のラノベを読んで、次にエロゲを買って、最後に一般文芸も読むようになった経緯があります。

 

そのくらい、活字の壁みたいなのを、この作品がぶっとばしてくれて、今の性格の元凶(笑)になってるんじゃないか?というくらい、自分史においてのターニングポイントとなった作品でした。

 

そんな作品が、次巻でおそらく最終巻ということで、気になるのは、雪ノ下家をめぐる決着、そして、奉仕部三人の結末、でしょう。シンプルな思いで結末を見届けられるものはいいものです。というか、題材自体が非日常的なものでなかったので、結末もシンプルにならざるを得ない感じはしますが。それでも、「普通」の学園モノで、ここまでおもしろかったのは凄いことです。

 

 

 

★本文中から抜粋して感想<<ネタばれ注意>>

 

 

▼「・・・すぐに川崎も俺に気付いて俺と目があった。

  お互い、へこっと小さな会釈をしあう。

  そして、お互い、それきり固まってしまった。

  もはや地蔵タイム安定である。あまりの地蔵っぷりにお供え物どころか笠までもらえちゃうかもしれん。」P.108

 

 

 言葉選びのセンスが(笑)

 

 

▼「・・・京華は、にこにこ笑顔を浮かべながら、ぱたぱたとしきりに俺を手招いている。普通に誘われていたら「行けたら行く」とちゃんと断るのだが、幼女のご招待には簡単に応じてしまうどうも俺です。」P.110

 

 

「行けたら行く」って最近使ったなぁ。結局ちゃんと行きましたが。

 

 

▼「・・・おかげで、一緒にいる俺も含めて家族みたいな感じがしてくる。これで俺がエルグランドかアルファードとかのワンボックスカー乗ってたら田舎のイオンにありがちな光景になってしまうぞ。好きな漫画はワンピとナルトとか言い出しそうだし、ダッシュボードに白いふわふわしたマット敷いてそうだし、バックミラーに麻の葉っぱの香草剤吊るしてそう。」P.122

 

 

 うわぁ、容易に想像がつく。サブヒロインの方が魅力的?

 

 

▼「・・・例えば、締め切りや納期やスケジュールといった類いのものには理屈が通じない。奴らには人の心がない。『いやー正直かなり厳しいっすね』『頑張りましょう!』『ぶっちゃけ間に合わないというか』『頑張りましょう!』『すいません不可能です』『頑張りましょう!』『・・・・・・はい。』みたいな事態が稀によくあり、こうなると、高速で移動することで時の流れをゆっくりにするくらいしか対処法がない。もはやSFなんだよなぁ・・・・・。P.264

 

 

 これも最近経験があり、こいつ頭おかしいんじゃないか?と久々にカチンときました。こいつらは病気です。こちら側が、相手にも分かるように丁寧に説明しましょう。

 

稀によくある、という矛盾(笑)

 

 

▼「・・・『それに、その手の連絡手段をあえて持たないようにしている人、繋がりを作らないようにしている人はそもそもプロムに参加する気はないでしょう。現にあなたがそうだし』『・・・・・すげぇ説得力だ』

 まさか自分の普段の行いが自分の問いかけへの答えになっていたとは。まーた論破してしまったのか。敗北が知りたい。P.269

 

 

 自分で自分を論破するという入れ子構造になってます(笑)勝者はだれなんだ(笑)

 

 

▼「・・・事ここに至って、俺は認識を改める。雪ノ下陽乃がかつて口にした、「自分より怖い」という言葉の意味を実感する。これはまずい。まるで埒が明かない。

 

 

 雪ノ下の母親の印象について、認識を改めるシーン。

 恐ろしく頭が回って、かつ、議論する気もない人物に何を説得できるのでしょうか?

 

 

 

というわけで、、、

さあ、さあさあ!クライマックスです!

12巻は、心理描写が多くて、とりわけ繊細な印象を受けました。

13巻はどうなるのでしょうか。予想がつきません。本当の腕の見せどころです。やってくれるとわたしは信じてますよ!