そして誰もいなくなった。

書評、エロゲ―の批評等しています。感想、考察は基本ネタばれになります。閲覧にご注意ください。

<<書評>> -その他- 「北欧の巨匠」 シベリウスについての記事

 

 昔はクラシック音楽もよく聴いていたのですが、最近はこころに余裕がなくてあまり聴いていませんでした。でも久々に聴くと、やっぱいいな、と思います。

 

一番好きな、クラシック音楽は何ですかと聞かれたときは、「シベリウス交響曲7番」と答えるようにしています。聞かれたことないですが(笑)

 

シベリウスはマイナーっぽくて通な感じがあるので、ドヤれる要素があるとは思いますが、そんなことは抜きにして、7番はほんとに素晴らしいです。特にトロンボーンの主題が出てくるあたりまでは、誰が聞いても至高の音楽だと思います。

 

序盤の弦楽合奏は、冷寒の地の薄氷のように、触れれば砕けてしまいそうな繊細さや、大自然に宿る霊力のような神秘性を感じさせます。トロンボーンの主題は、その大自然と力強く共存する生命の存在を感じさせます。

 

トロンボーンの主題が終わった後は、雪解けの後、あちこちの小動物がひょっこり顔を出したかのような生命のぬくもりを感じさせたり、もっと大きな大自然の雪の帳が降りてきたりと、スケール感の対比があったりして、最後は、深夜に降る雪のようにしんしんとした静けさの中から生命の主題が再び現れます。そして、その静けさが徐々にクレッシェンドしていって頂点に達したとき、大地が振動するような金管の強烈なフォルテッシモが響き渡り、朝焼けを迎えたかのような力強い弦楽のフェルマータで幕を閉じます。

 

どうでしょうか?魅力は伝わりましたでしょうか(笑)読書メモとは関係ありませんが、好きで書いてしまいました(笑)

 

 

▼読書メモ(シベリウスの作曲動機についての考察)

 

シベリウスフィンランドのハメーンリンナと呼ばれる都市で出生した。

フィンランドは当時、西スウェーデンからのキリスト教と東のロシア正教の勢力の接点となっていた。ハメーンリンナは西寄りの地域だったので、スウェーデン語を第一言語としていた。

音楽院生としてベルリンに留学した時に、リヒャルトシュトラウスの「ドン・ファン」を聴いて、交響詩の魅力と可能性について啓示を受けた。そして、留学先で祖国の指揮者であったロベルト・カヤヌスが、祖国の偉大な伝承叙事詩「カレワラ」にちなんだ<アイノ交響曲>をベルリンフィルで客演したのを聴いて、民族的題材による創作への可能性をおおいに覚えらされた。

そののち音楽院の教授職につくなど生活が軌道に乗ってきたとき、フィンランドでは、2月宣言による自治権のはく奪、フィンランドのロシア化政策などによって国民の危機感が高まり、愛国運動が燃えさかっていた。

シベリウスは、検閲の強化への抵抗運動のために作劇された劇のために音楽を書いたりもした。それがのちに編集され「フィンランディア」となって、世の中に普及していった。

そんな情勢の中、シベリウスは生誕50周年を迎えることとなった。国としても、一大作曲家として記念行事を行おうとした。そのときのプログラムとして、自身の新曲を発表することを公表する。そのときにデッサンとして浮かんだのが、「第5交響曲」「第6交響曲」「第7交響曲」である。

当時の情勢と、シベリウスが「カレワラ」に多大な影響を受けたということを鑑みると、上記の交響曲は彼の「民族的価値観」が影響しているというのは、決して推測できないことではないであろう。(「カレワラ」は当時ロシアの圧政下にあったフィンランド人の民族的自覚を促し、愛国独立への運動の精神的根拠となっていた。)

<<書評>> -ビジネス本- 「借りたら返すな!」

 

 

会計事務所に勤めている方はぜひ読んでほしい!そんなことを思わせる本です。

 

この本は、「財務戦略」に関する本であり、また「財務戦略の必要性」についても丁寧に説かれています。

 

私は今まで、損益計算書をどう使いこなして説明するかについて苦心していて、最近になってようやく自分なりの回答がついて、「もうここまでが未来原価管理の限界だ。これ以上会計事務所が未来について予測できることはない。」と高をくくっていました。それとともに、「会計事務所はここまでしかできない」とある種の諦めも感じていました。

 

そんな感じで、長い間考え続けたテーマに蹴りがついたので、すっきりした心持ちだったのですが、その頃、読んだのがこの本で、読み終わってみると「会計事務所ってまだまだ出来ることがあるじゃん!」というような感じで感動しました。

 

昔、勤めていた事務所は「顧問先に借入金はできる限りさせない。」というような方針で、顧問先の融資を勧めるということはほとんどなかったように思います。(方針というほどガチガチのものではなかったですが、所長がそういう風に公言していました。)

 

そんな中に染まっていた影響+従来からの借金という言葉自体の抵抗感もあってか、資金繰り関係の本をあまり読むことはありませんでしたので、財務周りの知識は乏しかったです。

 

この本を読んでから、借入金との向き合い方についていろいろと考えさせられます。

 

私の限界の幅を広げてくれた、大久保圭太先生に感謝です。

 

 

★読書メモ

 

・晴れのうちに傘を借りまくって、雨の日には返さない。

 →最近、融資の理解が深まってきたこともあって、なぜ決算書で7割~9割判断するのかのロジックを理解しました。となると、晴れの日にしか借りれないのは当然のことであって、雨の日には借りれないのは、これもまた当然のことなのです。だから晴れの日にこそ財務というものについて考えないといけない。

 

・投資するためお金を借りる際は、投資額以上に、運転資金を借りることが大事。

 

・できるだけ大きい金額を、できるだけ長期で借りる。

 

・経費で、事業関係性のないものがないか?あるなら決算前に社長が会社に現金を入れて、営業利益段階でマイナスにならないように気をつける。

 

債務超過の場合は、社長借入金を、資本金に振り替えることも検討する。

 

・現預金が一番多い月を決算月にする。

 

・経営者の将来的なビジョンを会計事務所は前もって聞いて、共有しておく必要がある。それによって財務戦略も変わってくるから。

 

・プロパー融資を目指す。プロパー融資ができたら、他の金融機関からも信用が得られて、お金が借りやすい。信用保証協会付融資は評価されない。信用保証協会がバックについているから、借りられているだけでしょと評価される。

 

・一行からプロパー融資を断られたとしても、他の金融機関も回って、プロパーでできないかどうか相談する。 「保証協会の枠も使っていいから、プロパーも一緒に検討してくれませんんか?」という交渉もアリ。

 

・プロパー融資ができるのは、基本的に設立から3期おわった後。

 

役員報酬の決め方は、実効税率の問題よりも、まずはいくら生活費として給料を取りたいかを打ち合わせする。

 

・節税のための生命保険は、保険料の支払いが多額になりやすい。節税効果のためにそれだけキャッシュアウトしても、会社がやっていけるのかどうかが大事なポイント。

 

・リスケの際は、1年は利息の支払いだけで済ませられるような計画にすべき。そして1年後また交渉する。

 

 

 

 

<<感想>>  -アニメ- 「魔法使いの嫁1話~3話」

原作はこちら↓

 

 原作は読んでないですが、アニメの方はいい感じです。

 

 

 

 

★1話~3話までのあらすじ<<ネタばれ注意>>

 

 

常人には見えないものを見ることができてしまう羽取智世は、学校、親戚、果ては親までにも存在を疎まれていた。

結果、彼女は屋上で自殺を図ろうとするが、そこへやってきた奴隷商人に、「生きることを投げ出すぐらいなら、あなたを欲しい人にあなたを預けてみませんか」と提案される。

生きることを投げ出していた智世にとっては、どうでもいい提案だったであろう。どうでもいい提案だったからこそ、智世はその提案を引き受けた。

 

「・・・なんでもいい。ただ帰れる場所が欲しい。」

 

一片の希望を胸に隠して。

 

奴隷として競売にかけられた結果、500万ポンド(約7億5000万円)という、とんでもない高値で智世はせり落とされることとなる。

落札者は、エリアス・エインズワース。

どくろの仮面をかぶった人外であり、魔法使いだった。

「いつか君が引き取られて良かったといわれるようにしよう。」

そんなことをつぶやかれて、邸宅に招かれ、居をともにするようになった。

 

智世には、スレイベガという、あらゆる怪異を引き寄せる能力があった。それはある意味魔法使いの素質があるということである。魔法というのは怪異、妖精の力添えがあってこそ発動できる奇跡のようなもので、自然と妖精を引き寄せる智瀬は魔法使いにとって逸材ともいえる素質であった。エリアスに引き取られた理由もそこだった。

 

招かれた日の夜、妖精が、智瀬の部屋の窓をノックする。外を散歩しようと誘われた。

眠くなるまで・・・と誘いに応じた智世はこっそりと、邸宅を抜け出した。

やってきたのは、この世とあの世を分ける境目のようなところだった。

「わたしたちと一緒に暮らしましょう?」

と、あの世に連れて行かれそうになるが、ぎりぎりのところで立ち止まった。

確かに、楽しい世界だったのかもしれない。生きるのを諦めていた智瀬にとっては、幸福な世界だったかもしれない。

ただ、

 

「帰らなきゃ・・・。ここにいても良いって言ってくれたから。」

 

もう、彼女には帰るべき場所があったのだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

同居してから、しばらくしてからの事、エリアスに依頼が来た。

最近ドラゴンの動きが活発になっていて、エリアスにドラゴンの様子を見に行ってほしいとの事だった。

ドラゴンの地へ赴くと、エリアスと、ドラゴンの管理者は、状況について話をするために近くを離れた。そこに居合わせた、ドラゴンと智瀬は取り残されるような形になった。

そこで、ドラゴンの長老、ネビンと出会うことになる。

その巨体からは、コケが生えてきていて、死を間近に控えた老体のように見えた。

ドラゴンにとって死というものは、恐れるものではなく、理であり、必然であり、次世代への生命の循環だった。故に、ネビンは生存することに悔いはなかった。

 

ネビンの話を聞いていくうちに、おだやかに死にゆくことができるネビンを智世は羨ましく感じるが、

 

「生きるものが死者をうらやむものじゃない」

 

と一喝される。今を生きる者には、この世界の素晴らしさを味わうことができる権利があるのだ。

 

「飛べない君には、飛ぶことを教えてあげた方が良さそうだ。」

「私は、空を飛ぶことはできないが、心にある空を見せることはできる。」

 

ネビンの心象風景が智世の前に開かれたとき、そこにあったのは、広大な海原と、どこまでも続く晴天と、水平線に沈む巨大な太陽だった。智世はネビンの背に乗って、空を飛んでいた。太陽の光に照射された智世のライトグリーンの瞳が滲んだ。

 

「我々は、空を捨てたが、空の下で私たちは生きている。鳥のように、生きるために空を飛びなさい。」

 

そうして、ネビンの心象風景から覚めた時、それがネビンにとっても最後の時だった。生命循環の象徴のように、その巨体に、新芽が芽をふき、みるみる巨木が生い立ち、頑丈な根がネビンの体を包み込んだ。そうして、ネビンは役目を終えた。

 

 

『君は魔法使いだろう、いつか杖が必要になるだろう。私の枝から、作るといい。――――』

 

 

 

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はい、というわけで、あらすじですが、事実と異なっていたらすみません。。結構主観にまみれた感じになっていますので、改変があるだろうなと思います(笑)

 

アニメ版「魔法使いの嫁」の良いところとして、まず制作陣が本気。そして、BGMも最高。原作が良かったから、制作する側も力が入ったのだろうなと想像します。

 

内容としても、死まで考えた智世が、魔法とか、非日常的なものに触れることによって、そこで何を感じるのかを想像する面白味があります。ある種、智世の一人旅のような面白さですね。そこで何を見て、何を感じたのか。みたいな。

 

だからといって、死生観を前面に出されると、ファンタジーっぽさが失われるような気がするので、あくまでファンタジーとして進行しながら、そこから滲みでてくるような味わいを期待しています。

 

 

<<書評>> -ビジネス本- 「まんがでわかる ドラッカーのマネジメント」

 

まんがでわかるドラッカーのマネジメント

まんがでわかるドラッカーのマネジメント

 

 

 積読になっていたので、消化しました。

 

読み終わった印象としては、この「マネジメント」の範囲というものが、わりと広範で、体系的な奥深さがあるように感じました。

 

その「マネジメント」を、ストーリー仕立てで分かりやすく伝えようとするのは、結構難儀だったと思いますが、この本では、成功している気がします。ただ、一回読んだぐらいでは、実務には使えないですね。

 

あらすじとしては、地域振興会議の委員をすることになった岸本かすみが、祖父や、関係者から、ドラッカーの「マネジメント」にもとづくアドバイスを受け、それを基にして、地域振興を成功させるストーリーです。

 

 

 

 

★読書メモ

 

「マネジメント」を簡単にいってしまうと、

「努力や工夫によって、求める結果を得ること」です。

「ビジネスにおけるマネジメント」は

「目標を達成するために、行う様々な努力や工夫のこと」です。

この、目標、で一番重要なのは、

「どの市場で勝負するのか」ということです。

 

企業は、マネジメントの成果を生むための組織です。

企業の目的は、「顧客を創造すること」

そのために必要な要素が二つだけあります。それは、

マーケティング」と「イノベーション」です。

つまり、「どの市場で勝負するのか」がまず土台にあって、それを基にして、「マーケティング」と「イノベーション」を行うことが、成果をあげるマネジメントになります。

 

マーケティングとは、結局のところ「ビジネスモデルを創造すること」です。

なぜなら、マーケティング、つまり「市場を理解すること」とは

「この事業を通じてどんな顧客が何を欲していて、どんな過程で満足を得たいのか」を理解することだから。つまりそれはビジネスモデルであるといえます。

 

イノベーションで大事なのは、「創造的模倣」と「用途開発」です。

「創造的模倣」は、他者の成功例に自社の強みをブレンドして新しいものを生むこと。

「用途開発」は既存のものを別の市場で生かすこと。既存の何かを組み合わせるとアイディアがでやすい。

イノベーションのゴールは、「独自化」と「差別化」です。

差別化によって出てくるものが、経済的な業績、つまり「利益」です。

 

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「マネジメント」には、企業の手法の意味もあるが、「個人」についてもマネジメントの考え方があります。

 

「成果をあげる能力」は才能に関係なく、習慣によって習得が可能。

いろいろな習慣を挙げているが、一番大事なのは「やるべきことを最優先してやる」ということ。細かいことからやって、重要なことを後回しにしてはいけない。

 

そして、もうひとつ重要な習慣として「人に貢献しよう」と思って仕事をすること。

そのときが一番成長するらしいです。

 

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「差別化」について

 

岸本かすみは、この町の差別化の要因として、「静かでゆったりできる」と挙げるが、他の町にいくらでもありそうな特色なので、それは「差別化」にはならない。「この町ならでは」のものが大事だとアドバイスを受ける。

 

では、どういう風に差別化を図るのかというと、「ペルソナ像(理想の顧客像)」を創り上げることによって差別化を図ります。

 

このストーリーの顧客は、観光客なので、観光客のペルソナ像(理想の顧客像)について考えてみると、

 

「〇〇さん、〇歳。大手企業のサラリーマン。年収〇〇万円。子供は二人、二人とも独立しており、東京都〇〇市に一戸建てで、夫婦暮らしている。趣味は、〇〇。定年退職後は、夫婦の時間を大切にしたいと思い始めている。そこで夫婦で健康増進のためウォーキングを続けている」

 

そのくらい、ペルソナ像については、詳細に考えていきます。

じゃあその〇〇さんが喜んでくれるサービスってなんだろう、という風な感じでサービスを構築してく。「〇〇さんは、旅行先では、地元民とのふれあいを楽しみにしてそうだから、〇〇がいいんじゃないか」みたいな。

 

そうすることによって、サービスが尖っていって、それが独自化につながる。

が、常識的に考えて、最低限のサービスは維持する必要がある。

 

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人を動かす「マネジメント」ついての要点

 

・人を通して成果をあげたいときは、その人の可能性に注目する。できない部分ではく、できる部分を認める。

その人のできること、すなわち得意なことで仕事を任せ、成果を要求し、成果に注目して評価をくだす。それが一番本人もやる気がわくし、成果が出やすい。

 

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ペルソナ像を創り上げたのはいいが、狙っていたターゲットとは、別の層が、サービスを購入している場合。

 

岸本かすみは、ペルソナ像に向けてのサービスを行っていたつもりだったが、そのペルソナには「十分この町の魅力が伝わっていなかった」ということになる。

すなわち、ペルソナのプロフィールについて、詳細に考えたものの、「何に喜びを感じるか」という点で、こちらとの認識に「ズレ」があったということである。

そういうときは「現場」に出ることによってヒントを得られたりする。

そして、時代は移り変わってゆくものなので、「顧客を取り巻く環境」も次第に変わっていきます。つまり「顧客のニーズ」も時代によって変わっていくということです。

なので、一定の期間で、顧客とのニーズにズレが生じていないか、確認していくことも大事です。

 

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うーん。ドラッカーって結構難しい(笑)

<<書評>> -ビジネス本- 「若い有権者のための政治入門 18歳から考える日本の未来」

 

図書館で借りた本の書評です。

 

若い有権者のための政治入門 18歳から考える日本の未来

若い有権者のための政治入門 18歳から考える日本の未来

 

 

端的にいうと、めちゃくちゃ面白かったです。

 

学生時代まともに勉強してこなかった私としては、目から鱗の知識だらけでした。池上彰の政治入門書なんかよりも、上手くまとまっていてかなり読みやすいです。

 

18歳になった人は、ぜひ読んでもらいたい本です。なんなら、教育の現場で配っていただきたいぐらい、そのくらい価値のある本でした。

 

ちなみに、平成29年10月22日は、衆議院選挙の投票日ですが、みなさん投票を忘れないようにしましょう。

 

 

 

 

★読書メモ

 

・選挙権は18歳から

 

・日本では、住民票がある街に、投票所に行けるハガキが来て、その「ハガキ」を持っていくと投票用紙がもらえる。

 

・アメリカでは50年代までは、白人と黒人の結婚も違法だという州が多かった。そのくらい人種差別がひどかった。

 

・選挙に行かないということは、「何か起きても文句はいいません」という意思表示だということ。

 

・オーストラリアでは選挙に行かないと罰金が科される。 

 

有権者であることの義務と権利。

 権利は、参政権があるという権利

 義務は、例えば、当選させた人が汚職を働いた場合には、それを選んだ国民に責任がある。責任が所在するという義務。

 

・選挙というものは未来に対しても責任がある。

 変な人を選んでしまったら、将来の日本がだめになる。「俺に与えられた権利だから、行使するのもしないのも自由だ」ということではない。あなたがよくても未来の日本がダメになる。

 

普通選挙法がどういう経緯で法制されたのか。

 昔は侍だけが兵役の義務があり、庶民は兵役の義務はなかった。なので、侍だけが、政治の世界に参加することを許されていた。義務を背負っているのだから、権利も与えよう考えから参政権を与えられた。

 明治時代になってからは、侍以外の一般庶民にも兵役の義務が課せられるようになった。そうなってくると、義務に対する権利が求める声が高まっていった。これが「大正デモクラシー」。そして、普通選挙法が制定されることになった。

 デモクラシーというのは民主政治のことを指す。(民主主義の「主義」はイデオロギーであり、あくまで価値観であることから、著者は民主主義という言葉に、抵抗があり、民主主義ではなく、民主政治という言葉を使っている。民主政治というのは、あくまで形態、仕組みのことである。)

 

・義務と権利の話。

 イギリスの清教徒革命(市民革命)の時もそうで、始めは、土地を持っている貴族しか政治参加できなかった。これは不動産を持っていない人間は、戦争になったら逃げだすかもしれないので、そんなやつを政治に参加させてはいけないという考えからきている。でも、次第に、軍に参加するすべての兵士には、参政権があるという考え方が芽生えていった。そして一般庶民も選挙権を求めるようになった。

 

国防軍の話

 どの国も国防軍はある。日本でも国防軍を作るべきだ。

 圧力に対して抵抗する権利は、自然権である。(自然権というのは基本的人権のこと)

 「平和」を守ることより、自国の「安全」が大事。黙って被害者になる訳にはいかない。平和を求めるあまり、白旗振って、独立を失った国の悲惨さは、多くの場合筆舌に尽くしがたい。

 

外交問題の話

 外交問題と内政問題は全然違う。内政問題は、まちがっていたら修正すればいいことだが、外交問題については、一度のミスが取り返しのつかないことがある。だから政治家を選ぶときは、外交政策がしっかりしている政党を選ばないといけない。

 

・国際社会に警察はいない。国際法を破ったとしても、経済制裁しかない。

 

国連は、交渉を行う場所、自国の立場を宣伝する場所。だから制裁するときに、連合するのは、あくまで有志連合でしかない。警察ではない。

 

国際法は、慣習法と国際条約の2つにわかれる。

 慣習法は、文書にはしてなかったけど今までそうしてきたから法的な効力をもたせるというもの。

 

国際司法裁判所というのは、あくまで国際司法裁判所の出した判決には両方とも従いますと合意している場合でしか、裁判することができない。

 

<<書評>> -ビジネス本- 「国税OBによる税務調査と実務対応」

図書館で読んだ本の書評です。

 

勉強になった個所をメモしてますので、それを掲載します。

 

国税OBによる税務調査と実務対応―法人税・国際課税・相続税・贈与税

国税OBによる税務調査と実務対応―法人税・国際課税・相続税・贈与税

 

  

・税務調査の対象年分は、通常3年。悪質な経理体制の場合は、5年、7年。

 

・調査官は税務調査に入る前に、準備調査を行っている。(いわゆる下準備)

 確定申告書や、決算書はもちろん、資料せんを確認する。

 資料せん、には、法定資料と、法定外資料がある。

 法定資料は、提出義務がある資料。法定外資料は任意提出の資料。

 

 法定資料は、法定調書と、同義。法定調書には主なものとして、下記の資料。

 ★給与所得の源泉徴収票

 ★退職所得の源泉徴収票

 ★報酬・料金、契約金及び賞金の支払調書

 などなど。

 

 法定外資料は、一般取引資料せん、とか税務署が反証するための独自の資料。

 

・基本、税務調査は、任意調査だが、任意だからって断っても良いというわけでもない。そもそも国税調査官に質問検査権があるので、任意調査を拒否するということは、質問調査を拒否する(罰則あり)というわけだから、つまるところ、任意調査を拒否=罰則が適用される。

これには、おもしろい判例があって、憲法第38条に、「自己に不利益な供述は強制されない」と書いてあるので、原告側は、質問検査権は憲法違反ではないかと、異議を唱えるが、裁判所の判断では、この憲法第38条は、刑事事件に関するものだけと解するのが適当であると考えるから、任意調査は刑事事件ではないため、敗訴になった判例がある。

 

・質問調査権の意義。

(質問検査等の相手方となる者の範囲)

1-4 法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定による当該職員の質問検査権は、それぞれ各条に規定する者のほか、調査のために必要がある場合には、これらの者の代理人、使用人その他の従業者についても及ぶことに留意する。

「~調査のために必要がある場合には~」とあるが、つまり調査のために必要な理由がない場合には、任意調査を行うことができない。ただ、調査の理由を聞いても、まず調査理由は開示されないと思っておいた方がいい。国税調査官に調査の理由は何ですかと聞いたときに、「理由はありません」と言いきって調査するのは違法行為になる。

まあ、だからと言って揚げ足取りみたいに指摘するのも、いかがのものかと思いますが。

 

国税調査官には、帳面だけではなくて、現物調査も認められている。

 しかし、調査の範囲は、社会通念上妥当とされる範囲までの調査だけが認められている。つまり明らかにプライベートなもの、場所については、本人の許可がないと調べることができない。

 現物調査されるものとしては、固定資産の使用状況、メモ書き、パソコンのデータ、机の中、手帳、電話帳等ぐらいは確認の対象であると考えられる。

 

 

蛇足な話になりますが、

よく「国税調査官上がりの税理士は~」とか、話にも聞きますけれど、こうゆう本(この方は税務署上がりの方です。)とか、実際に税務署に税金関係の質問をすると、当たり前のことですが、回答を条文に基づいて返答してきます。対して、会計事務所生え抜きの先生方は、ここまで条文に基づいて、反論できるのでしょうか?。法律的な理論武装としては国税上がりの先生の方が一枚上手なのかなと、本書を読んだ後、感じました。

 

<<書評>> -小説- 「富豪刑事」

 

富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

 

 

 筒井康隆著作、「富豪刑事」読了しました。

 

 

★あらすじ

 

 

ハバナから取り寄せた葉巻(一本、8500円)を捜査会議中くゆらせる男、神戸大助は刑事課の警察官である。大富豪である父、神戸喜久右衛門の一人息子であり、父には自分が悪行の限りをつくして築きあげた富を、捜査の際に使い込むことを期待されている。それが、自分の罪滅ぼしになると、喜久右衛門は考えるからだ。また、神戸邸には、美人女性秘書が同居している。名は、浜田鈴江。大助に好意を寄せているが、鈍感な大助はその好意に気付かず、無下にしてしまっていた。

 

神戸大助が、大富豪ならではの視点を使って、物語が展開し、事件を解決するミステリー作品。筒井康隆特有のユーモアや、鈴江の可愛さが魅力的です。

 

 

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ユーモラスな部分は楽しめましたが、ミステリーとしては、正直面白くなかったです。ただ、トリックとしての面白さというよりは、その魅せ方に凝った作品なのかな、と素人目に思いました。なので、ミステリー好きな人は、この作品を読んで、何か感じるところがあるのかもしれません。(少なくとも、解説文を執筆されている方は、感銘を受けているらしいです。)

 

 

 

★文中から引用して、コメント <<ネタばれ注意>>

 

 

▼「~発作を起こしている途中で思い出した。」P.25

 

 

大助が、喜久右衛門に事件のことで相談する。→喜久右衛門が「お前も、そんな大事な仕事を任されるようになったか」と感動のあまり鼻をすする。→「わしの悪行の限りを尽くして、稼いだお金を全部つかってくれ」とおろおろ泣きだす→急に発作が。→鈴江が介抱する。→「発作を起こしている途中で思い出した。」と、昔のツテを使って、捜査の協力をする。

 

までがワンセットです(笑)章が変わるたびに、たびたび出てきます。

第一章では、ロンドンフィルハーモニーをダンスパーティーに招こうと大助に提案しますが、もちろん却下されます。金管楽器まで呼んだら、BGMというより、もはやクラシックコンサートになっちゃいますよね(笑)

 

 

▼「宮本社長を殺害した時と同じ条件下に江草を追い込めばいいでしょう」P.86

 

 

第二章「密室の富豪刑事」からの引用です。

簡単なあらすじとして、真空鋳造部品を開発する会社を経営する宮本社長が密室で殺害されます。容疑者として商売敵の江草社長しか考えられない状況なるのですが、密室殺人ということで、江草社長が殺したという証拠がいかんせん、つかめない。

このままだと迷宮入りか、というところで、大助が「じゃあ、江草社長の商売敵になるような会社を私が設立します。そして私が経営者として席を置きます。宮本社長が殺された時と同じような状況を作り出して、相手のしっぽを掴みましょう」と提案する。

なんとも、大富豪らしい捜査の仕方です。

個人的に第二章が一番好きなのですが、面白いところとして、喜久右衛門の過去の人脈を使って、設立する会社の重役に、大学の教授や、大企業の社長級を次々と登用するところです。そんなことをしたらもちろん、商売敵どころか、完膚なきまでに叩き潰してしまいます。やりすぎなところが痛快でした(笑)

そして、江草社長がまた殺人を企てるのですが、結局未遂になってしまって、近くに張り込んでいた警察に、殺人容疑として逮捕されるという結末を迎えます。それで一件落着となるところがこれには後日談があります。元々、ダンピング戦略のため赤字を想定して設立したはずなのに、結局経営するうちに、メンバーがメンバーなだけに黒字になってしまいます。そして喜久右衛門から一言。 

 

「ここな親不孝者め。この裏切り者めら。なんというなさけないことをしてくれた。なんじゃと。く、く、黒字になったじゃと。儲かったじゃと。馬鹿者ども。誰が儲けてくれいと頼んだか。わしゃ赤字にせいと言うた筈じゃ。なんじゃと。く、く、黒字でその上、製品が評判で海外からも引き合いが来ておるじゃと。それではいずれ大企業になってしまうではないか。」

 

金なんぞ使い果たしたいと願う喜久右衛門の懐に、どっさりお金が入ってきてしまったとさ(笑)おしまい。