そして誰もいなくなった。

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<<書評>> -ビジネス本- 「国税OBによる税務調査と実務対応」

図書館で読んだ本の書評です。

 

勉強になった個所をメモしてますので、それを掲載します。

 

国税OBによる税務調査と実務対応―法人税・国際課税・相続税・贈与税

国税OBによる税務調査と実務対応―法人税・国際課税・相続税・贈与税

 

  

・税務調査の対象年分は、通常3年。悪質な経理体制の場合は、5年、7年。

 

・調査官は税務調査に入る前に、準備調査を行っている。(いわゆる下準備)

 確定申告書や、決算書はもちろん、資料せんを確認する。

 資料せん、には、法定資料と、法定外資料がある。

 法定資料は、提出義務がある資料。法定外資料は任意提出の資料。

 

 法定資料は、法定調書と、同義。法定調書には主なものとして、下記の資料。

 ★給与所得の源泉徴収票

 ★退職所得の源泉徴収票

 ★報酬・料金、契約金及び賞金の支払調書

 などなど。

 

 法定外資料は、一般取引資料せん、とか税務署が反証するための独自の資料。

 

・基本、税務調査は、任意調査だが、任意だからって断っても良いというわけでもない。そもそも国税調査官に質問検査権があるので、任意調査を拒否するということは、質問調査を拒否する(罰則あり)というわけだから、つまるところ、任意調査を拒否=罰則が適用される。

これには、おもしろい判例があって、憲法第38条に、「自己に不利益な供述は強制されない」と書いてあるので、原告側は、質問検査権は憲法違反ではないかと、異議を唱えるが、裁判所の判断では、この憲法第38条は、刑事事件に関するものだけと解するのが適当であると考えるから、任意調査は刑事事件ではないため、敗訴になった判例がある。

 

・質問調査権の意義。

(質問検査等の相手方となる者の範囲)

1-4 法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定による当該職員の質問検査権は、それぞれ各条に規定する者のほか、調査のために必要がある場合には、これらの者の代理人、使用人その他の従業者についても及ぶことに留意する。

「~調査のために必要がある場合には~」とあるが、つまり調査のために必要な理由がない場合には、任意調査を行うことができない。ただ、調査の理由を聞いても、まず調査理由は開示されないと思っておいた方がいい。国税調査官に調査の理由は何ですかと聞いたときに、「理由はありません」と言いきって調査するのは違法行為になる。

まあ、だからと言って揚げ足取りみたいに指摘するのも、いかがのものかと思いますが。

 

国税調査官には、帳面だけではなくて、現物調査も認められている。

 しかし、調査の範囲は、社会通念上妥当とされる範囲までの調査だけが認められている。つまり明らかにプライベートなもの、場所については、本人の許可がないと調べることができない。

 現物調査されるものとしては、固定資産の使用状況、メモ書き、パソコンのデータ、机の中、手帳、電話帳等ぐらいは確認の対象であると考えられる。

 

 

蛇足な話になりますが、

よく「国税調査官上がりの税理士は~」とか、話にも聞きますけれど、こうゆう本(この方は税務署上がりの方です。)とか、実際に税務署に税金関係の質問をすると、当たり前のことですが、回答を条文に基づいて返答してきます。対して、会計事務所生え抜きの先生方は、ここまで条文に基づいて、反論できるのでしょうか?。法律的な理論武装としては国税上がりの先生の方が一枚上手なのかなと、本書を読んだ後、感じました。