そして誰もいなくなった。

書評、エロゲ―の批評等しています。感想、考察は基本ネタばれになります。閲覧にご注意ください。

<<感想>>  -アニメ- 「魔法使いの嫁1話~3話」

原作はこちら↓

 

 原作は読んでないですが、アニメの方はいい感じです。

 

 

 

 

★1話~3話までのあらすじ<<ネタばれ注意>>

 

 

常人には見えないものを見ることができてしまう羽取智世は、学校、親戚、果ては親までにも存在を疎まれていた。

結果、彼女は屋上で自殺を図ろうとするが、そこへやってきた奴隷商人に、「生きることを投げ出すぐらいなら、あなたを欲しい人にあなたを預けてみませんか」と提案される。

生きることを投げ出していた智世にとっては、どうでもいい提案だったであろう。どうでもいい提案だったからこそ、智世はその提案を引き受けた。

 

「・・・なんでもいい。ただ帰れる場所が欲しい。」

 

一片の希望を胸に隠して。

 

奴隷として競売にかけられた結果、500万ポンド(約7億5000万円)という、とんでもない高値で智世はせり落とされることとなる。

落札者は、エリアス・エインズワース。

どくろの仮面をかぶった人外であり、魔法使いだった。

「いつか君が引き取られて良かったといわれるようにしよう。」

そんなことをつぶやかれて、邸宅に招かれ、居をともにするようになった。

 

智世には、スレイベガという、あらゆる怪異を引き寄せる能力があった。それはある意味魔法使いの素質があるということである。魔法というのは怪異、妖精の力添えがあってこそ発動できる奇跡のようなもので、自然と妖精を引き寄せる智瀬は魔法使いにとって逸材ともいえる素質であった。エリアスに引き取られた理由もそこだった。

 

招かれた日の夜、妖精が、智瀬の部屋の窓をノックする。外を散歩しようと誘われた。

眠くなるまで・・・と誘いに応じた智世はこっそりと、邸宅を抜け出した。

やってきたのは、この世とあの世を分ける境目のようなところだった。

「わたしたちと一緒に暮らしましょう?」

と、あの世に連れて行かれそうになるが、ぎりぎりのところで立ち止まった。

確かに、楽しい世界だったのかもしれない。生きるのを諦めていた智瀬にとっては、幸福な世界だったかもしれない。

ただ、

 

「帰らなきゃ・・・。ここにいても良いって言ってくれたから。」

 

もう、彼女には帰るべき場所があったのだ。

 

 

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同居してから、しばらくしてからの事、エリアスに依頼が来た。

最近ドラゴンの動きが活発になっていて、エリアスにドラゴンの様子を見に行ってほしいとの事だった。

ドラゴンの地へ赴くと、エリアスと、ドラゴンの管理者は、状況について話をするために近くを離れた。そこに居合わせた、ドラゴンと智瀬は取り残されるような形になった。

そこで、ドラゴンの長老、ネビンと出会うことになる。

その巨体からは、コケが生えてきていて、死を間近に控えた老体のように見えた。

ドラゴンにとって死というものは、恐れるものではなく、理であり、必然であり、次世代への生命の循環だった。故に、ネビンは生存することに悔いはなかった。

 

ネビンの話を聞いていくうちに、おだやかに死にゆくことができるネビンを智世は羨ましく感じるが、

 

「生きるものが死者をうらやむものじゃない」

 

と一喝される。今を生きる者には、この世界の素晴らしさを味わうことができる権利があるのだ。

 

「飛べない君には、飛ぶことを教えてあげた方が良さそうだ。」

「私は、空を飛ぶことはできないが、心にある空を見せることはできる。」

 

ネビンの心象風景が智世の前に開かれたとき、そこにあったのは、広大な海原と、どこまでも続く晴天と、水平線に沈む巨大な太陽だった。智世はネビンの背に乗って、空を飛んでいた。太陽の光に照射された智世のライトグリーンの瞳が滲んだ。

 

「我々は、空を捨てたが、空の下で私たちは生きている。鳥のように、生きるために空を飛びなさい。」

 

そうして、ネビンの心象風景から覚めた時、それがネビンにとっても最後の時だった。生命循環の象徴のように、その巨体に、新芽が芽をふき、みるみる巨木が生い立ち、頑丈な根がネビンの体を包み込んだ。そうして、ネビンは役目を終えた。

 

 

『君は魔法使いだろう、いつか杖が必要になるだろう。私の枝から、作るといい。――――』

 

 

 

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はい、というわけで、あらすじですが、事実と異なっていたらすみません。。結構主観にまみれた感じになっていますので、改変があるだろうなと思います(笑)

 

アニメ版「魔法使いの嫁」の良いところとして、まず制作陣が本気。そして、BGMも最高。原作が良かったから、制作する側も力が入ったのだろうなと想像します。

 

内容としても、死まで考えた智世が、魔法とか、非日常的なものに触れることによって、そこで何を感じるのかを想像する面白味があります。ある種、智世の一人旅のような面白さですね。そこで何を見て、何を感じたのか。みたいな。

 

だからといって、死生観を前面に出されると、ファンタジーっぽさが失われるような気がするので、あくまでファンタジーとして進行しながら、そこから滲みでてくるような味わいを期待しています。