そして誰もいなくなった。

書評、エロゲ―の批評等しています。感想、考察は基本ネタばれになります。閲覧にご注意ください。

<<書評>> -小説- 「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」

 

 かわいいタイトルとは反面、めちゃくちゃ「社会派」な作品です。私の中ではかなりおもしろかった部類になります。

 

特に、言及したいところだけ書き記すことにします。

 

・「子供にとって必要なものは安心だ。」とはどういう意味か?

おそらく、「砂糖菓子を撃ち続ける必要のない環境」ということではないでしょうか?わたしは、この「砂糖菓子」というものを「子供の論理」という風に読み替えて読んでいます。その意味において、子供の論理を振りかざす必要のない環境を作ることが大人にとっての責務なのではないか、ということを語りかけているのではないかといます。

 

・海野藻屑はなぜ、ミネラルウォーターを持ち歩いていたのか?

これも印象的だったのですが、海野藻屑は、山田なぎさ曰く「そんなにおいしいものじゃなかった。鉱物っぽいへんな味がした。いつまでこれを飲んでものどの渇きは収まらないような気がしてーーー」と評されるたいしておいしくもないミネラルウォーターを飲み続けていましたが、なぜこれを海野藻屑が飲み続けたのかと想像してみるに、「ただ心の渇き(むなしさ)を紛らわすためにひたすら飲んでいたのではないか?と私は考えています。