そして誰もいなくなった。

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<<感想>> -ライトノベル- 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14」

 

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」シリーズ、堂々の完結。

 

やっと終わったのかという思いとともに、このシリーズの1、2巻を購入した日のことが脳裏に蘇ります。

あれは、福岡のまんだらけでした。ちょうど1期の放送時期だったこのアニメを見て、「なんだこれめちゃくちゃおもしれえじゃん!」と興奮し、原作を調べてチャリ漕いで買いに行ったのを思い出します。

もともと、漫画もラノベも本すら読んでこなかった自分ですので、まんだらけに入ったのもそれが初めてでした。

入ってみて衝撃的だったのは安い!ということ。中古なので今思うと当たり前ですが、バイトも最初のころはしてなかったので、あの安さはありがたかった。親のすねを齧り、背徳感から買ったこのラノベは最高におもしろかった。

 

あれから6、7年ぐらい経って、今ではいろんな本に手を出していますが、僕の中で、感動した読書体験としてはこれが初めてで、ルーツともいえる作品でしたから、今でも少なからず影響を受けている部分はあると思います。

 

例えば、八幡は成長意欲に欠けている部分があり、一般的に見たらそういう人は好まれない傾向にありますが、彼にしてみれば「今の自分を肯定しているから、変わらないといけないところなんてない」と持論を展開する有様で、それを読んだときはもう衝撃的で、笑いながらも得心がいって、ちょっと前までは僕の持論になっていたまであります。

 

そんなルーツとも言える作品が完結したという訳で、あの頃の懐かしさに思いを馳せながら※ネタばれ※感想を下記にしたためたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

1.表紙裏コメントの件

 先に申しあげますと、感想は批判的な部分が多めです。で、表紙めくって裏のコメントを読んで気になったことが一つ。

 ぽんかん⑧氏「・・・(省略)・・・読者のみなさま・・・(省略)・・・本当にお疲れ様でした!」

 なんだよ読者にお疲れさまって。読むのにお疲れ様ってこと?待ちくたびれたという意味でなら確かに疲れたよ...。

 

2.なぜ雪ノ下を選んだのか、なぜ由比ヶ浜が選ばなかったのかを文中で明らかにしてほしかった。

 僕はあまりキャラクター単体には愛着を持つタイプではなく、少し引いて見るところがあるので、いわゆるどちら派みたいな派閥はないから、どっちとくっついても良かったのだけれども、なぜ雪乃下を選んだのか、なぜ由比ヶ浜が選ばなかったのかの理由付けが欲しかった。僕から見れば、雪ノ下も由比ヶ浜もどちらも素敵な女の子で、どちらにも尊い価値がある、という意味で等しく等価値で、八幡にとってもそうに違いないんだから、そこはけじめを付けて欲しかった。まぁ今までの流れで、八幡が雪ノ下を尊敬している節があったから、雪ノ下に惹かれるというのも分かるけどね。

 

3,自意識の殻を破って

 最後まで本物を追い求めた八幡。本物の意味を彼の言葉で意訳するなら、間違いのないもの、普遍的に変わらないもの、といったところかと思いますが、この奉仕部の出会いがなければ彼の言う本物を手に入れることはできなかったと思います。彼は強烈な自意識がありますから、この出会いがなかったら自分自身の正しさを信じて疑うことはしなかったでしょう。本物の価値は自分の中にあるものではなく、実際に触れた感触、つまり、他人との関わり合いの中でこそ本物の価値に気付くのではないでしょうか。僕が見て感じたことと他人が見て感じることは違うことがままにあります。この小説の感想だって、片一方の人にとっては最高のラノベだったと興奮冷めやらぬうちに書評を書く人もいれば、もう片方の人にとってみれば最低のラノベで、不満点をあげつらってボコボコにしてしまう人もいます。そういった自分とは異なる意見をネットではなくてリアルで体感し、自分に今までなかった視点を得ることが僕は大人になることだと思いますし、それこそが本物を見つけることに繋がると思うのです。それを見事に八幡の背中が語ってくれたんじゃないでしょうか?