そして誰もいなくなった。

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<<感想>> -エロゲ―- 「″Hello,world.″」

ニトロプラス制作「″Hello,world.″」とりあえずtrueエンドまでクリアしました。


古い作品です。OSの動作環境がXP以前ということで、そもそも動くかどうかが心配でしたが、Windows7 32bitだったらギリギリ動くようです。
がしかし、特定のボタンを押すと動作不能になりますので、こまめにセーブをとることが肝要だと思います。


あらすじです。


人型ロボットである友永和樹は《グローバルイルミネーション》完遂させるために生み出されたロボットであり、使命完遂のためには人間の感情を学ぶ必要があるため、人間社会に潜伏し様々なことを人から学んでゆく、というようなお話です。


【以下、ネタバレを含む。】


某批評サイトでは、長い長いと言われてますが、私自身はそんなに長くは感じませんでした。といっても私は奈都美のnormalエンド、trueエンド、深佳true エンドしかクリアしてませんので、あまり参考にならないかもしれませんが(笑)、フルコンするつもりなら確かに長いと思います。ただ、どのヒロインのtrueエンドもグランドフィナーレ仕様だと思いますので、ほぼ大差ないと思って間違いないです。


他所の感想で、「冗長な日常パートが~」と言われてますが、主人公がロボットという性質上、やたら分析的な思考をしますので、長くなるのはある意味必然です。逆に和樹の一日を追体験していると思えば短いくらいとも言えます。こう思ってしまうのも、和樹に感情移入してしまうからでしょうか?「ハローワールド」を立ち上げて、タイトル画面の「初めから」をクリックすると同時に、和樹はこの世界にロボットとしての生を受けます。なんというか結末を知ってるだけに、その事実が重い(笑)どうしてもこういう展開に私は弱いみたいです。。


作風としては、ニトロプラスらしく熱い感じです。和樹が電覚を用いて活躍するところは、さすがロボット!という感じで彼にしかできない活躍をします。彼にしかできない、というと俺TUEE系の主人公を想起しますが、あまりすんなりとは解決しません。そこにモヤモヤしますが逆に何でも解決できてしまう主人公の方が異常だと悟りました。いや、最近の俺TUEE 系も好きですけどね(笑)


では、ひとりでは解決できない事態をどうやって解決したのか?作中で良いことを言ってた記憶があります。「みんなで協力してこの事態を解決するために、僕にしかできないことを、僕がやる。」正にtrueエンドがこの言葉を体で表したようなルートで、本物のチームプレイ、one for all,all for one とは何なのか?その本質の一端を掴めたような気がしました。


trueエンドでは、和樹が暴走したプログラムを制御するために、電波棟からプログラムを修復するエージェントを、ネットワーク中に送信し続けます。明らかな過負荷で和樹の無機頭脳が焼き切れ物理的な限界がやがて訪れます。そして彼は、白くなってゆく意識の中で夢を見ます。彼女達の笑顔、そして、人々の笑顔。今までの思い出が走馬灯のように駆け巡ります。
和樹が焼き切れてしまっても、シミュレーション上では、無事制御できるはずです。しかし、彼女達とこの混乱が片付いたら再会しようという約束を果たすことは出来ませんでした。
しかし、彼は不思議と最期は微笑んでいました。零れ落ちる涙と共に意識が消えていきました。


「・・・約束・・・ごめん・・・」


彼は約束を果たせなくて、後悔していた気持ちはあったと思います。でも、それ以上にこの世界に生まれてこれて幸せだった、という思いの方が強かったのではないでしょうか?ロボットなのに、大切な人達との約束よりも、自己中心的な感情の方が優先される。無責任に見えるけど、ここに本当の幸せの姿が見えて、訴えかけてくるメッセージになる。


私も和樹みたいに、生まれてこれて幸せでした、と言えるのだろうか、とロボットから学ぶのでした。