そして誰もいなくなった。

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<<感想>>  -アニメ- 「君に届け」

 

君に届け 1ST&2ND SEASON BD-BOX 【完全初回限定生産】 [Blu-ray]

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史上最強の純愛アニメ。

いやはや、1期、2期とぶっ続けで観ていましたが感動しまくりでした。年をとったせいか、以前見たときとだいぶ違った所感を抱いています、そのくらい奥が深い作品だということでしょうか...。しかし何度見ても良い作品ですね。

友達、家族、恋愛...。2ndシーズンを終えた頃にはこのすべてを勝ち得たわけですので、原作未読の私にとってはその後のストーリーが気になるところではあります。これ以上ストーリーを発展させるならば、もっと醜い人間的な部分を書かないといけなくなるでしょう。その意味で言うとハードルが高くなるでしょうから、3期は今後ないだろうな(笑)というのが私の予測です。

では感想です。

 

1.分からないのはもういいや

 

 風早に好きな子がいると聞かされた爽子。他の子に取られてしまうかもしれないということで涙していましたが、学園祭後に爽子は風早が誰が好きであろうとも構わないと決心し、自分の気持ちを伝えるため告白しに行きます。

「―――壊したい。風早君との間に作った壁を」

爽子は今まで他人のために気遣ってしていた行為を「ごめんなさい」と他人から避けられ続けてきた子でした。しかし北幌高校の入学を機に転機が訪れます。それが風早との出会いでした。風早は爽子に初めて「ありがとう」と言ってくれた人でした。

そんな私との壁ぶち破ってきてくれた彼に、爽子は今、自らが壁を作り、正反対の行いをしている。恥ずかしいとか、迷惑がかかるとか、壁を作っていたのは爽子の方でした。爽子が今までされたくなかったことを、風早君にしても良いのだろうか?

―――それはすごく失礼なことではないだろうか?

 

彼氏になってほしいという気持ち以上に、今までまっさらな気持ちをぶつけてきてくれた風早に、感謝の気持ちをこめて私の正直な気持ちを伝えたいという爽子の姿勢が素敵です。風早を好きという気持ち以上に「ありがとう」という気持ちが窺えて、愛情よりもっと深い親愛を感じます。

 

分からないことはもういいや、と駆け出す爽子。そういうあやふやな部分も丸ごと抱えて突っ走る爽子に大人の影が見えて、爽子も階段を一歩ずつ登ってるんだなぁと一人しみじみ泣きました。

 

2.ウソのある世界で生きるということ

 

 私がずっと気にかけていたところがあります。2ndシーズン第1話で、くるみが「風早は本命チョコは貰わないよ」と爽子に嘯くシーン。爽子は真に受けてバレンタインチョコを渡せなかったわけですが、私がここを見ていて感じたのは「たとえこの状況を上手く乗り越えたとしても、風早と付き合う以上、こんなことを真に受けていたらいつかどこかで躓くぞ」という危機感でした。

 現実世界ではウソが蔓延っています。人が社会で生きていくには強さが必要です。私はそれが気がかりで、爽子が果たして人の醜さに屈しない力を身につけられるのか?という観点で2話以降観ていました。

 きっかけは、12話で訪れます。くるみの後を追いかける女子高生を爽子が手で制します。

 

「くるみちゃんのライバルは、私なので」

 

 爽子は、人の醜さを受け流すこともなく、対立することもなく、自分の信念を通すことによって、この社会に立ち向かっていくのではないのか、と思わせる、私個人において重要なシーンでした。