<<書評>> -ビジネス本- 「小さな会社の税務がすべてわかる本」
図書館で借りた本です。
「小さな会社の税務がすべてわかる本」ということで、「すべて」ですから、どんだけ自信あるんだ、って感じですけど、読み終わってみたら自信に裏付けされた、中身の濃い良書でした。
Q&Aのような感じで、税金に関する網羅的な記述があります。勉強になりました。
★読書メモ
・法人成りの目安は、利益の80%を役員報酬とする場合、大体650万円~660万円
・法人の設立期間中に損益が生じた場合(設立の手続きをしている間の話)、その損益は、開業費とせずとも設立事業年度の損益にしてもよい(ただし、個人事業者→法人なりの場合の、設立期間中乃損益は個人事業者の損益になる。)
・開業費は、経常的に発生する損益(例えば水道光熱費)とかは含まれない。
・売上の計上基準は、原則、引渡基準。請求書を発行した段階ではない。実質、引き渡した日で見る。
・物の引渡自体は行われているが、金額をまだ提示しておらず、売価が決まっていない場合。→売価を適正に見積もった金額とする。売価が確定したら、確定した事業年度において、差額を計上する。
・棚卸資産の評価方法を届け出なかった場合、最終仕入れ原価法により評価する。
・定期同額給与の臨時改定理由のなかの、
業績悪化改定事由の具体例→業績の悪化に伴って、取引先等の利害関係者から信用を維持、確保する観点から、経営状況の改善を図るため。
・役員報酬→代表者が実質基準により、損金不算入となることはほとんどないが、代表者の家族を役員に迎えている場合、税務上問題になるケースがある。
・決算賞与の問題点→業績が悪くなったので決算賞与を支給できませんとかになると、従業員のモチベーションが下がる可能性があるので、そこも検討事項ではある。
・外注費を給与認定された。
→仕入れ税額控除ダメ、源泉徴収もれ、社会保険料のもれ、のトリプルパンチ(笑)
・役員に貸した社宅の家賃は、家賃相場も考慮して、適正価額を設定しないと、低すぎた場合、役員賞与認定→損金不算入になるので注意
・社員旅行についても、適正な価額に押さえないと、給与とみなされて、源泉徴収の問題が出てくる。
・寄付金については、交際費、広告宣伝費、に該当するのか実態を見る。
・海外視察旅行とかは、旅費規程、報告書等整備しないと、役員賞与→損金不算入となる。
・固定資産税は、支払った年分の経費となる。賦課決定年分ではない。
・償却資産税→1.4/100、で計算する。
・貸倒損失の計上基準
債務者との取引が「なくなって」から1年以上経過。
債権の「全額」を回収できないことが明らかである場合。etc...
・自宅を事務所として家賃を払う場合
法人→支払った家賃は、すべて経費
個人事業者→不動産所得として確定申告が必要。
(確定申告料を払ってまでするか、というところがポイントですね。自分でできないことは無いんでしょうけど。)
・短期前払費用に該当する具体例
地代家賃、リース料金、保険料、信用保証料
・車両を購入した場合、法定費用は、原則的にいえば、付随費用として資産計上すべきだが、税務上経費に落とすのも認められている。(いままで、当たり前のように経費にしてましたが、やっぱりちゃんと裏付けがありますよね、)
・会社の土地を、役員に特別に安く譲渡→役員賞与認定→損金不算入(法人と、個人という人格が別なんだってことを、意識しないといけないですよね。基本的に公正な取引であることが大事なんだと思います。)
・生命保険による節税は、解約返戻率が高いものを選ぶ。
・法人の利益が大きくなれば、別会社化して、「年800万円」に抑えるなどの方法も考えうる
・期限内申告書を提出できなかったことについて、相当の理由があるときは、延滞税が免除になるケースもある。
・源泉徴収税額表、「乙欄」はなぜ、税額が多いのか。
→もともと、「甲欄」は給与所得のみの場合と仮定しているので、二か所給与がある場合などは、所得も大きくなるので、「乙欄」は税額が多い。・
・住宅ローン控除で、所得税から引ききれなかった部分は、住民税から控除される。その場合、源泉徴収票の摘要欄の住宅借入金等特別控除可能額に引ききれなかった分を書けばいい。
★請求書等がないんだけど、仕入れ税額控除は受けれますか?
一定の要件に該当する場合には、無くても仕入れ税額控除できる。
・・・「課税仕入れを行った者が課税仕入れの相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けれなかった場合」など
ただし、課税仕入れの相手方が容易にわかるように、準備をしておくこと。
・消費税の総額表示を怠っていたとしても、罰則はない。
・税務調査は、5、6月は、調査が甘くなりやすい。
・税務調査で世間話をするのは、社長の生活状況を把握するためでもある。そのお金をどこから捻出しているのかを探っている。
・税務調査では、役員個人費用の会社負担、資本的支出と修繕費がポイントになったりする。