そして誰もいなくなった。

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<<書評>> -ビジネス本- 「借りたら返すな!」

 

 

会計事務所に勤めている方はぜひ読んでほしい!そんなことを思わせる本です。

 

この本は、「財務戦略」に関する本であり、また「財務戦略の必要性」についても丁寧に説かれています。

 

私は今まで、損益計算書をどう使いこなして説明するかについて苦心していて、最近になってようやく自分なりの回答がついて、「もうここまでが未来原価管理の限界だ。これ以上会計事務所が未来について予測できることはない。」と高をくくっていました。それとともに、「会計事務所はここまでしかできない」とある種の諦めも感じていました。

 

そんな感じで、長い間考え続けたテーマに蹴りがついたので、すっきりした心持ちだったのですが、その頃、読んだのがこの本で、読み終わってみると「会計事務所ってまだまだ出来ることがあるじゃん!」というような感じで感動しました。

 

昔、勤めていた事務所は「顧問先に借入金はできる限りさせない。」というような方針で、顧問先の融資を勧めるということはほとんどなかったように思います。(方針というほどガチガチのものではなかったですが、所長がそういう風に公言していました。)

 

そんな中に染まっていた影響+従来からの借金という言葉自体の抵抗感もあってか、資金繰り関係の本をあまり読むことはありませんでしたので、財務周りの知識は乏しかったです。

 

この本を読んでから、借入金との向き合い方についていろいろと考えさせられます。

 

私の限界の幅を広げてくれた、大久保圭太先生に感謝です。

 

 

★読書メモ

 

・晴れのうちに傘を借りまくって、雨の日には返さない。

 →最近、融資の理解が深まってきたこともあって、なぜ決算書で7割~9割判断するのかのロジックを理解しました。となると、晴れの日にしか借りれないのは当然のことであって、雨の日には借りれないのは、これもまた当然のことなのです。だから晴れの日にこそ財務というものについて考えないといけない。

 

・投資するためお金を借りる際は、投資額以上に、運転資金を借りることが大事。

 

・できるだけ大きい金額を、できるだけ長期で借りる。

 

・経費で、事業関係性のないものがないか?あるなら決算前に社長が会社に現金を入れて、営業利益段階でマイナスにならないように気をつける。

 

債務超過の場合は、社長借入金を、資本金に振り替えることも検討する。

 

・現預金が一番多い月を決算月にする。

 

・経営者の将来的なビジョンを会計事務所は前もって聞いて、共有しておく必要がある。それによって財務戦略も変わってくるから。

 

・プロパー融資を目指す。プロパー融資ができたら、他の金融機関からも信用が得られて、お金が借りやすい。信用保証協会付融資は評価されない。信用保証協会がバックについているから、借りられているだけでしょと評価される。

 

・一行からプロパー融資を断られたとしても、他の金融機関も回って、プロパーでできないかどうか相談する。 「保証協会の枠も使っていいから、プロパーも一緒に検討してくれませんんか?」という交渉もアリ。

 

・プロパー融資ができるのは、基本的に設立から3期おわった後。

 

役員報酬の決め方は、実効税率の問題よりも、まずはいくら生活費として給料を取りたいかを打ち合わせする。

 

・節税のための生命保険は、保険料の支払いが多額になりやすい。節税効果のためにそれだけキャッシュアウトしても、会社がやっていけるのかどうかが大事なポイント。

 

・リスケの際は、1年は利息の支払いだけで済ませられるような計画にすべき。そして1年後また交渉する。